【解決事例1】法定相続人の一人が行方不明で遺産分割協議を行うことが難しかった事案

事案の概要

遺産分割協議を行おうとしたが、法定相続人の一人が行方不明で、遺産分割協議を行うことが出来ない状態にあった。但し、行方不明者がどこかで生活している可能性もあり、失踪宣告まですることは憚られた(失踪宣告には様々な不都合が伴うため。)。なお、主な遺産は被相続人の自宅土地建物で、相続人の一人が全てを取得し、他の相続人には代償金を支払う形での遺産分割を予定していた。

 

事案の問題点

① 法定相続人の一人が行方不明で、物理的に遺産分割協議を行えない状態にあったため、取り急ぎ、不在者財産管理人を選任する必要があった。
② 不在者財産管理人を選任しても、不在者財産管理人は代償金を受取った後、ずっと代償金を管理し続けなければならない可能性があった。
一方で、失踪宣告まですることは誰も望んでおらず、遺産総額もさほど多額では無かった。

 

解決のポイント

① まず、不在者財産管理人を選任し、同人を交えて遺産分割協議書を作成、無事土地建物の移転登記を行うことが出来た。
② 不在者財産管理人は家庭裁判所に上申し、「帰来時弁済型」の遺産分割を行うことの権限外行為許可を得た。
帰来時弁済型とは、「行方不明の相続人が帰って来た場合は、相続人の一人が責任を以て代償金を弁済する。」と約束させた上で行う遺産分割協議であり、これにより不在者財産管理人は代償金を管理し続ける負担から解放されることになった。

【解決事例1】法定相続人の一人が行方不明で遺産分割協議を行うことが難しかった事案