相続人での話し合いがまとまらなかった場合、次はどうすれば良いですか
一部の相続人が協議内容に反対するなどして、遺産分割協議が成立しなかった場合、まずは家庭裁判所に遺産分割の「調停」を申し立てることになります。裁判所での手続には、もう一つ「審判」の手続がありますが、特別の理由が無い限り、まずは調停を行うこととされています。
裁判所での手続というと非常に厳格で堅苦しいイメージがありますが、調停はあくまで従来からの話合いの延長に過ぎず、ざっくばらんな雰囲気の中で、専門知識を有する人生経験豊富な調停委員を間にはさんで行います。
調停自体は、申立人は申立人控室に、相手方は相手方控室に待機し、交互に調停室に入室しては調停委員に自らの考えを伝える形で進められますので、基本的にはお互いが顔を合わせないよう配慮されています。
調停委員は双方の話を聞き、お互いの妥協点を探りながら、何とか合意が成立するよう仲裁をして行きます。
1回目の調停(2~3時間)では話がまとまらなかった場合、2回目、3回目と調停を重ね(月に1回程度)、話し合いを継続して行きます。
調停において話し合いがまとまった場合は、裁判所において遺産分割調停調書が作成され、調停は無事終了します。
この調停調書は法に則って作成され、この調書に基づいて直接移転登記や金融機関での手続が行えるよう配慮されていますが、念のため裁判所にその旨の要望を出しておくのが良いでしょう。
なお、調停はあくまで話し合いの延長に過ぎず、調停委員は合意形成を斡旋するに過ぎませんので、第三者が強硬に反対した場合は調停は不成立とならざるを得ません。
この場合、手続は自動的に「審判」に移行することになります。
なお、このような遺産分割調停の申立先(管轄裁判所)は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(または当事者が合意して定めた家庭裁判所)となります。
そのため、相手方が遠方に住んでいるような場合は費用と時間が大変で、何とか最寄りの裁判所で調停すべく工夫する場合もありますが、近時は電話会議システムを活用し、遠方に赴くことなく調停を行うことが出来る場合もあります(弁護士以外の私人については、本人であることの確認が困難であるため、利用できるかは各裁判所に問い合わせる必要があります。)。
なお、相手方が複数存在する場合は、その内の一人の住所地の管轄裁判所を選択することが出来ます。