調停が成立しなかった場合、次はどうなるのですか

家庭裁判所の「調停」が不成立となった場合、その事件は「審判」に自動的に移行することになります。

遺産分割審判は、相続人の話合いを斡旋するような手続では無く、第三者たる家事審判官が、どのように遺産を分割すべきかについて、強制的に決定してしまう手続となります。このため、遺産分割の協議内容に強硬に反対する者や全く協力しないような者がいたとしても、最終的な解決を図ることが出来ます。

審判手続では、調停とは異なり、各相続人は書面によって事実関係の主張を行い、これを裏付ける証拠を提出しなければなりません。

その上で争点整理を行い、絞られた争点について事実の調査が行われます(当事者が口頭で陳述する審問や、家庭裁判所調査官による調査等)。それを踏まえた上で、裁判所は審判を下すことになります。

なお、審判の対象とされる「遺産」は厳密に取捨選別されますので、例えば当然に法定相続分に従って分割される可分債権や、葬儀費用などが審判の対象から除外されることがあります。調停の対象となる遺産は緩やかに解釈され、関連するもの全てを含めて全体的な解決を図ることが出来ましたが、審判に移行した場合は、必ずしもそのような解決がなされる保証はありません。

審判内容に不服がある場合、審判の告知の日の翌日から2週間以内に限り、相続人は高等裁判所に即時抗告をすることが出来ます。

なお、僅かな意見の相違によって調停が成立しないとか、明らかに合理性を欠いた主張を展開する頑迷固陋な当事者がいて調停が成立しないような場合、手続参加の意欲を欠いており著しく非協力的であるがために調停が成立しないような場合についてまで、常に審判に移行させることは、余りに不経済と言えます。

このような場合は、審判まで移行することなく、調停段階で裁判所から合理的な解決案を示した「調停に代わる審判」が出されることがあります。

この場合、当事者が告知を受けてから2週間以内に異議申し立てがなされなかった場合は、審判は確定することになりますが、異議が申し立てられた場合はやはり審判に移行することになります。

裁判所に持ち込まれる遺産分割事件のうち、法定相続人の一部が無関心で「面倒なので自分を巻き込まないで欲しい。」と一切の協力を拒絶しているケースは比較的多く、この制度の利用によって多くの事件の迅速化が図られることになると思われます。

 

調停が成立しなかった場合、次はどうなるのですか