私は親の後を継いで家業を維持して来ました。この労力は遺産分割に反映されますか

先にも説明しましたが、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人がいる場合は、その貢献を遺産分割割合に反映させるのが公平であり、これを「寄与分」と言います。

但し、寄与行為は、通常期待される程度を超える「特別の寄与」があって初めて認められるものであり、認定のためのハードルは低くはありません。

では、本問のように、相続人が被相続人の経営する家業を手伝ったり、跡を継いだような場合は、どのような基準で「特別な寄与」が認められるのでしょうか。

これについての判例を整理する限り、

① 家業の手伝いを無償や正当な報酬を得ることなく行っていたこと、
② 相当な長期間にわたって手伝ったこと、
③ 継続的に手伝い続けていたこと、
④ 相続人が家業に専従することを余儀なくされたこと、
⑤ 寄与行為により被相続人の財産の維持または増加があったと認められること

などが重要な判断要素とされるようです。

このような場合は、現実に得ていた低廉な給与と、従業員の立場であれば本来得られたであろう給与との差額を以て、寄与分が認定されることが多いようです。

なお、被相続人の事業のための運転資金として、相続人が金銭を贈与したような場合であれば、比較的「寄与」の認定は容易となります。

但し、その場合は、金銭贈与の効果が相続開始時に残存していることが必要であるとされ、例えば、その後事業は廃止に追い込まれ、相続開始時には事業用の資産が何も残っていないような場合は、寄与を認めることが出来ないとされています。

 

私は親の後を継いで家業を維持して来ました。この労力は遺産分割に反映されますか