お墓や仏壇は誰が承継するのでしょうか
火葬場では、遺骨と共に埋葬許可証(火葬許可証に火葬済みの証印が押されたもの)を受取ります。
その後、四十九日の法要後や一周忌にあわせて、お骨を墓地に納骨することが多いようです。
では、お墓は誰が承継するのでしょうか。
一般的に、お墓や墓地、仏壇といった死者や先祖の祀りごとに関する財産については「祭祀財産」と呼ばれ、通常の遺産分割とは異なる手続によることとされています(これを「祭祀承継」と言います。)。
祭祀財産を誰が引継ぐかについて、法は一応次のように規定しています。
① 被相続人からの指名があった場合は、それに従う(被相続人が口頭で行っても、遺言によって行っても良い。)。
② 指名が無い場合は、その地域の慣習に従って決定する。
③ 慣習が無い場合は、家庭裁判所が審判により決定する。
なお、家庭裁判所の審判に持ち込まれたような場合は、被相続人との身分関係や事実上の生活関係の緊密さ・親和性、祭祀承継候補者と墓地との位置関係、祭祀承継候補者の意思や能力その他を総合して、裁判所は祭祀承継者を決定することになります。
ただ現実には、法定相続人全員の合意によって決定されることが多く、被相続人からの指名や慣習が問題になるケースは余り多くありません。
例えば、墓地には①寺院墓地(お寺が運営する墓地で檀家が入る)、②公営墓地(自治体が運営する)、③民営墓地(宗教法人や公益法人が運営する)がありますが、被相続人が墓地の「使用者」として登録されていたような場合で、その使用権を承継する際には、トラブルをさけるためにも事実上法定相続人全員の承諾書が求められることがあります。
一方、先祖代々の墓地を所有している場合は、登記名義人の変更を行う必要がありますが、その場合も実際上は遺産分割協議書の中で取得者を決めて、移転登記手続をとることが多いように思います(登記官には祭祀財産か否か審査する権限がないため。)。
※なお「埋葬許可証」という言葉は、墓地埋葬法の規定からすると正確ではありませんが、分かり易さを優先してそのように表記しました。