相続人の一人が遥か昔にアメリカに移住したらしいのですが、行方が全く不明で遺産分割が出来ません。どうしたら良いですか。

設例のような場合、まずは相続人の生存の有無及び連絡先を調査して行くことになります。

しかし、日本のように国民の全てが戸籍制度と住民登録制度によって管理されていれば、これらを辿って身分関係や現住所を容易に把握することが可能ですが、諸外国ではそのような制度は存在しないことが殆どであるため、相続人の調査は非常に困難な作業となります。

なお、日本から移住した人やその子孫に関しては、外務省の担当部署に問い合わせることで糸口がつかめることもありますし、出身地毎に県人会が組織されていることも多く、そこに相当詳細な情報が残っている場合もあります。

それでも相続人の居場所がつかめないような場合、最後に利用することになるのは、「不在者財産管理人」の制度です。

家庭裁判所で、外国に移住した相続人の行方が分からないことを説明し、当該相続人の代理人となる「不在者財産管理人」を選任し、同管理人を相手に遺産分割協議を行って、協議をまとめることになります。

また、この場合、不在者財産管理人は遺産分割協議によって取得した金銭などをずっと管理していなければならないかのように思えますが、それについては「帰来時弁済型」の協議を行うと良いでしょう。

これは、不在者財産管理人以外の法定相続人が、「不在者が帰って来たら自分が責任を以て不在者の相続分を弁済する。」と約束することで、不在者財産管理人が管理の負担から解放される。という便利な仕組みです。

 

相続人の一人が遥か昔にアメリカに移住したらしいのですが、行方が全く不明で遺産分割が出来ません。どうしたら良いですか。