お墓を引き継ぐのに、何か手続が必要なのでしょうか

墓地の取得や承継については、①その墓地の土地「所有権」を取得している場合と、②その墓地の土地「使用権」(=永代使用権と言います)だけを取得している場合とで、区別して説明するのが便宜でしょう。

 

1 墓地の所有権を取得している場合

山の斜面辺りに、先祖代々の墓地を既に所有しているような場合、墓地の所有者の登記名義変更手続を行うことになります。

これについては、本来は祭祀承継手続(被相続人の指名→慣習→家庭裁判所の審判)を通じて承継者を決定し、登記手続を行うことになるのですが、実際上は遺産分割協議の中で承継者について話し合い、合意によって決定されることが多いと思います(登記官には、対象となっている土地が祭祀財産か否かを審査する権限が無いからです。ちなみに、地目が「墓地」であっても土地所有者以外の第三者のための墓地であれば、それは被相続人にとっては祭祀財産ではありません。)。

 

2 墓地の使用権しか取得していない場合

一般的に良く利用される墓地・霊園としては、①寺院墓地(お寺が運営する墓地で檀家が入る)、②公営墓地(自治体が運営する)、③民営墓地(宗教法人や公益法人が運営する)がありますが、これらはいずれもお墓の敷地について「所有権」を分譲している訳では無く「使用権」を配布しているに過ぎない場合が殆どです。

このような使用権を「永代使用権」と言い、通常の土地利用権とは異なる特徴を有していますが、あくまで土地所有権とは異なります。

そのため、使用権の「取得」及び「承継」については、基本的に管理者である寺院や自治体、公益法人の定めた管理規程や慣習に従って届出をすれば足りることになります。

なお、これらの墓地は被相続人が生前に自ら取得し、そこに納骨するよう子孫に指示するのであれば、特に問題は発生しないでしょう。

一方、被相続人死亡後に相続人の一人が墓地を取得したような場合も、遺骨を当該墓地に納骨することにつき争いが無ければ、あとは墓地の管理規程に従って届出を行うだけです。

既に被相続人が墓地の「使用者」として登録されており今後の「使用者」を決定する必要があるような場合については、多くの墓地・霊園ではトラブルを避ける意味でも、法定相続人全員の承諾書の提出が求められることがあります。

 

3 納骨時の注意点

これについては、多くの墓地では、納骨をした場合に埋葬許可証を墓地管理者に届けることが必要となります(墓地埋葬法14条)。

埋葬許可証を紛失すると何かと大変なことになりますので、絶対に無くさないよう注意して下さい。

※なお「埋葬許可証」という言葉は、墓地埋葬法の規定からすると正確ではありませんが、分かり易さを優先してそのように表記しました。

 

お墓を引き継ぐのに、何か手続が必要なのでしょうか