【解決事例10】曽祖父の遺産分割を放置していたため、法定相続人が50人を超えていた事案
事案の概要
曽祖父の遺産分割を放置していたため、法定相続人が50人を超えるような状態になってしまった。
そのため、法定相続人の中には縁が余りに遠いため、遺産分割協議に非協力的な者もいた。
また、保存期間の関係で、曽祖父の出生からの戸籍を取ることが出来ず、曽祖父が25歳からの戸籍しか取得出来なかった。
事案の問題点
このような場合、一般的には法定相続人全員に遺産分割協議書を取り付けることになるが、法定相続人の中に非協力的な者がおり、遺産分割協議は期待薄であった。
曽祖父の出生からの戸籍を取ることが出来ない場合、曽祖父が18歳から25歳までの間に結婚している可能性を廃除することが出来ず、戸籍上相続人の全てが網羅されているとは言えないことになる。
解決のポイント
弁護士は、50人以上による遺産分割協議成立は事実上不可能と考えた。
幸い、曽祖父の遺産は自宅土地建物だけで、調査の結果、遺産分割協議書は無いものの、事実上の合意があったことは推定されたため、「口頭の遺産分割があったのだから土地建物の名義を相続人の1人に移せ」という訴訟を提起した。
非協力的な相続人は訴訟を欠席したため、欠席判決を得ることで早期解決が可能となった。
また、戸籍の不足部分については、一族の菩提寺の住職の協力を得て過去帳を閲覧し、曽祖父が出生から25歳までの間に結婚した事実が無いことを確認した。
(なお、現在は登記先例の変更により、このような配慮は不要となっている。)