【解決事例2】一度相続放棄したにも関わらず、7000万円の借金を払うようにという請求された事案

事案の概要

ある日突然、父の債権者を名乗る金融機関から、7000万円の貸付金を支払えと請求書が届いた。父は既に死亡しており、死亡した際に7000万円の借金については相続放棄をしたはずであるにも拘わらず、なぜ今更そのような話が出てくるのか不思議であった。

弁護士に相談して調査したところ、父が死亡した時、妻子(直系卑属)は全員相続放棄したが、祖父(直系尊属)が相続放棄手続を怠っていた。そのため、祖父が死亡したことにより、代襲相続(被代襲者=父)で再び自分が7000万円の借金を相続することになっていた。

なお、祖父が死亡してから1年以上が経過している。また、祖父には殆ど遺産が無かったが、賃貸アパート内の荷物を一部形見分けで受取った。

 

事案の問題点

祖父の相続について、相続放棄が出来るか否かが問題となった。
主な争点は次の2つ
① 祖父の死亡から既に1年が経過しており、期間制限を途過しているのではないか。
② 祖父の相続について形見分けを受けており、法定単純承認に該当するのではないか。

 

解決のポイント

相談者は弁護士に相談して初めて「代襲相続」を知ったのであり、それまで自身が祖父の相続人になることについては知らなかった。

また金融機関も祖父の生前に督促をしたことは無かったことも判明した(祖父は無資力だったため)。

そこで、相続放棄の期間制限の起算点である「自己のために相続開始があったことを知った時」とは、弁護士に相談して代襲相続という制度を知った時からであるとして、相続放棄の申述を受理させた。

また、形見分け程度では法定単純承認に該当しないとの点も説明し、最終的に、債権者から債権放棄の了解を得た。

【解決事例2】一度相続放棄したにも関わらず、7000万円の借金を払うようにという請求された事案