【解決事例4】法定相続人の1人が音信不通で、不在者財産管理人を選任して遺産分割協議を行った事案
事案の概要
被相続人の遺産の中に不動産があり、それを法定相続人3人で遺産分割するという事例。
事案の問題点
法定相続人の1人が、行方不明で音信不通になっており、他2名の法定相続人はその居所や連絡先が全く分からない状態であった。
そこで、不在者財産管理人を選任してもらい、その不在者財産管理人を不在者の代わりとして、法定相続人らで遺産分割協議を行う必要があった。
解決のポイント
1 まず、不在者財産管理人選任審判の申立てを家庭裁判所に行った。
(不在者財産管理人とは、不在となっている者の代わりにその有する財産を管理する者のことをさす。)
不在者財産管理人選任審判の申立ての管轄は、原則として不在者の最後の住所地であるが、本件は他の法定相続人の住所地と遺産である不動産の所在地が同一であったため、遺産分割協議の手続きの便宜を考え、財産所在地の家庭裁判所に審判を申し立てて、不在者財産管理人を選任する旨の審判を得た。
2 次に、遺産分割協議を行うために、不在者財産管理人が申立人となって、家庭裁判所に権限外行為許可の審判申立てを行った。
これを行ったのは、不在者財産管理人の権限が、管理行為のみを行うことを基本としているため、遺産分割協議などその権限外の処分行為を行う場合には、家庭裁判所の許可を得ることが必要だからである。
そして、家庭裁判所の許可を得るために、帰来時弁済型の遺産分割協議書を家庭裁判所に提出した。
(帰来時弁済型の遺産分割協議とは、「行方不明の相続人が帰って来た場合は、相続人の一人が責任を以て代償金を弁済する。」と約束させた上で行う遺産分割協議のことである。)
3 権限外行為許可の審判申立ての結果、家庭裁判所において不在者財産管理人の権限外行為許可がおりた。
そこで、許可がおりた帰来時弁済型の遺産分割協議案に従って、遺産分割協議を行い、被相続人の遺産である不動産を分割することができた。